指輪の位置について
「冠婚葬祭」でのコーディネート
「冠婚葬祭」でのジュエリーの装い
洋服やアクセサリー、小物を選ぶとき、みなさんはどのようにされていますか?多くの方は、どんな人と合うかや、その日の過ごし方、目的などを考えて選んでいると思います。誰でも日頃から、その日の過ごし方や出かける目的、つまりTPOを考えて洋服や小物。アクセサリーを選んでいます。「時」、「場所」、「場合」(TPO:time,place,occasion)を留意することによって、「その場にふさわしくない」というようなマナー違反を防ぐことができます。
ジュエリーは人の目を引き装いの中でもワンポイントとなり、好イメージに演出してくれます。一度、TPOを間違えると、「マイナス」に作用し他人に不快感を与えます。今回は、皆様のご質問が多い「冠婚葬祭」についてご紹介致します。
「お葬式」でのジュエリーの装い 「お葬式」では、真珠が最も安心です。ただし、下記の注意点に気をつけて下さい。 ①色はホワイトやブラックなど地味な色目に。また、留め金もできればシルバー色で目立たないものにしましょう。 ②ネックレスはシンプルで一連のものを。多連のネックレスは、「悲しみが度重なる」という意味にも通じますので避けましょう。 ③イヤリングは1珠でシンプルなものがふさわしく、揺れるタイプなどは派手になりますので控えましょう。 ④結婚指輪は外す必要はありませんが、婚約指輪などのダイヤモンドリングは控えましょう。
「結婚式」でのジュエリーの装い 一方、冠婚葬祭の喜びの席の「結婚式」ではもう少し自由に考えて頂いても構いません。最近は披露宴の形式も多様化し、両家の主要な関係者が出席するフォーマルな会から、友人同士のカジュアルな集いまでさまざまなスタイルがあります。あるいは、披露宴だけでなく式に列席する場合もあり、TPOの設定に迷うこともあります。列席者として美しく装うことは必要ですが、華美となり主役より目立ちすぎてしまわぬよう注意しましょう。
ネックレス、イヤリング、ブローチのコーディネート
ネックレス・ペンダントのコーディネート
ネックレスやペンダントは身につける人の首の長さや太さによって、同じネックレスやペンダントでも印象が違ってきます。ここではそれぞれのタイプの首の太さ・短さによって自分の気になる点をカバーするバランスをご紹介致します。*肩幅や、肩の形(いかり肩、なで肩等)等の要素も影響してきますので、必ず全身が写る鏡でバランスをを確認して下さい。
【太くて短い首の場合】 比較的、ふくよかな人で身長低めな人に多いタイプです。
(避けた方が良いネックレスのデザイン) ①短いチョーカーネックレス(40cm位):首元が詰まって見え、首の短さを強調させてしまいます。 ②太め・ボリュームがあるネックレス:首に視線を集め、短く・太く見せてしまいます。 ③極細のネックレス:首のボリュームとコントラストで太さが目立ってしまいます。
(バランスの良いネックレスのデザイン) ①45cm位のペンダント:ペンダントが作るV字のラインが首元をスッキリさせ、首を長く見せます。 ②少し長めのネックレス(45~50cm位):首とネックレスとの間に指が2本位入るとスッキリとなりオススメです。
【長くて細い首の場合】 身長の高い方や痩せ気味の方に多くタイプです。比較的、どのような長さでもバランスをとりやすいです。
(避けた方が良いネックレスのデザイン) ①細いネックレス・ペンダント:首の細さを強調し、貧弱に見えてしまいます。
(バランスの良いネックレスのデザイン) ①短めのぴったりとしたチョーカーネックレス(40cm位):首を短く見せることができます。 ②立体的なデザイン:首元にボリューム感をを持たせバランス良く見せます。 ③2連、3連等重ねつけ:首元にボリューム感をを持たせバランス良く見せます。 *ペンダントはチェーンが太く、トップの大きいデザインがオススメです。
【長さ別のアドバイス】 ネックレスは長さによって印象の違う演出ができます。
(40~45センチ:首周りに自然に沿う長さ) 顔の近くにアクセントがきますので、顔の周りをぱっと華やかにする効果があります。どんな場面でも 活躍してくれ、オールマイティに使える長さです。
(50センチ:少し長めの長さ) 首が太め、肩に肉がついている等、少しふくよかな人にオススメです。首周りをすっきり見せることができます。 タートルネックなどの厚手の洋服とも、バランスがとりやすい長さです。
(60センチ:胸元で揺れる長さ) 胸元で揺れるので、パーティーなどで立ち姿を華やかに美しく見せる演出をします。
(80センチ:大きく揺れる長さ) エレガントに揺れることにより縦のラインを強調し、全身をすっきりとした印象に見せます。
イヤリング・ピアスのコーディネート
イヤリングは、ジュエリーの中でも顔に一番近い為、第一印象を大きく左右する重要なポイントです。形によって「強調」、「補正」ができますので、下記ご参考にコーディネートしてみて下さい。
【丸顔の方の場合】 (強調したい場合)丸い大きな『ボタン型』がオススメです。 (補正したい場合)縦のラインを出す『ドロップ型』や『フープ型』がオススメです。
【逆三角形の顔の方の場合】』 (強調したい場合)シャープなラインの『ボタン型がオススメです。 (補正したい場合)やさしくふくよかなラインの『ドロップ型』がオススメです。
【四角形の顔の方の場合】 (強調したい場合)四角やボリュームのある『ボタン型』がオススメです。 (補正したい場合)耳たぶより大きくない『スタッド型』がオススメです。
【楕円形の顔の方の場合】 (強調したい場合)『ドロップ型(細長いきゃしゃなもの)』がオススメです。 (補正したい場合)大きすぎないフープ型・丸みのある『ボタン型』がオススメです。
ブローチのコーディネート ブローチは着ける位置によって印象が変わってきます。また、留め金具の安全性を考慮すると、利き手ではない方や、ショルダー・バッグを下げない方につけることをお勧めします。
【背を高く見せたい場合】 周りの人の視線を上にもってくる為に、鎖骨に近い高い所につけましょう。
【スッキリとシャープに見せたい場合】 流れのあるデザインや縦長のブローチを選びましょう。
【背を低く見せたい場合】 周りの人の視線を下げる為に、バスト・トップに近い位置につけましょう。
鏡でバランスを確かめましょう!
バランスをチェックするために、必ず鏡を用いてできるだけ全身をご確認下さい。鏡に写った姿を確認することによって、ご自身を客観的に、また、トータルコーディネートとして観察、判断できるようになります。指輪の場合なども、直接見るのではなく、鏡に写してみて下さい。近くで見るとアイテムが強調され気になる場合でも、全身で見ると案外そうでない場合もあります。そうなれば、選択の幅も広がります。そして、全身が写る鏡でバランスをチェックした後は、もう1回バストアップで自分のイメージと合っているか確認しましょう。
指輪(リング)のコーディネート
いくらデザインが良くてもリングの形や指の形のバランスによって意外に似合わないということが時々あります。ここでは、あなたの指にあったデザインの指輪をご紹介致します。
【太くて短い指の場合】 太くて短い指の場合は、着ける上での欠点を上手くカバーしてくれる指輪もございます。下記の避けたほうが良いデザイン、バランスの良いデザインをご参照下さい。
(避けた方が良い指輪のデザイン) ①幅が広い指輪:横幅を強調されてしまうので、余計に指が太く見えてしまいます。 ②縦に長い指輪:第2関節との間が狭くなり、逆に指の短さが強調されてしまいます。 ③ボリュームがある指輪:かえって指の太さを強調してしまいます。 ④きゃしゃな指輪:指のボリュームと極端に違うと、かえって指の太さを強調してしまいます。
(バランスの良い指輪のデザイン) ①センターに石のある指輪:中央にワンポイントをおくことで、指の太さを二分し、細く見えます。 ②ボリュームに変化がある指輪:変化によって表情がでるので太さが気にならず個性的に見えます。 ③V字タイプの指輪:指に縦の流れをつくるので、長く見せることができます。
【太くて長い指の場合】 太くて長い指は、華やかな指です。その華やかさを活かして、個性的に装うことをオススメ致します。
(避けた方が良い指輪のデザイン) ①かわいらしい華奢なデザインの指輪:指輪の華奢なデザインが華やかな指と相性が良くありません。
(バランスの良い指輪のデザイン) ①幅が広い指輪:横の流れを強調しますが、指が長いのでバランスよく見えます。 ②縦長の指輪:指の長さを強調させ、太さを感じさせません。 ③ボリュームがある指輪:指と指輪のバランスが良く見えます。 ④V字タイプの指輪:太めがオススメです。指を細く長く見せます。
【節が太い指の場合】
節が目立つ、節が太い人の場合、節を通るぎりぎりのサイズでも、指の付け根ではゆるくて回ってしまう、つけ心地がよくないと感じています。つけ心地は主観の問題ですので解消しがたいですが、リングが回ってしまうとか、節が目立つ等のは、バランスによってある程度解決できます。
(避けた方が良い指輪のデザイン) ①センターに石のある指輪:回ってしまったり、かえって指とリングの隙間が強調されてしまいます。
(オススメの指輪のデザイン) ①全周に均一にデザインされた指輪:回っても気になりません。 ②幅広の指輪:指の細い部分を隠し、節からの自然なラインになります。
【細い指の場合】 細い指の人の場合は、概してさまざまなデザインを楽しむことができます。
(オススメの指輪のデザイン) ①華奢なかわいらしい指輪:指が細いのでバランスよく見えます。
鏡でバランスを確かめましょう!
バランスをチェックするために、必ず鏡を用いてできるだけ全身をご確認下さい。鏡に写った姿を確認することによって、ご自身を客観的に、また、トータルコーディネートとして観察、判断できるようになります。指輪の場合なども、直接見るのではなく、鏡に写してみて下さい。近くで見るとアイテムが強調され気になる場合でも、全身で見ると案外そうでない場合もあります。そうなれば、選択の幅も広がります。そして、全身が写る鏡でバランスをチェックした後は、もう1回バストアップで自分のイメージと合っているか確認しましょう。
鑑定・鑑別機関について
1970年設立。宝飾業界における国内最大手の鑑定機関です。 特にダイヤモンド鑑定においては国内最大のシェアを誇ります。ベルギーにあるヨーロッパを代表する鑑定・教育機関『HRD(ダイヤモンド・ハイ・カウンシル)』と提携していることでも知られます。 【AGTジェムラボラトリー】
ダイアモンドの4Cを考案した米国宝石学会GIA(:Gemological Insttitute of America)と提携し、GIAジャパンの鑑別部門となっています。 国内では最も鑑定・鑑別が厳しいと言われています。*ちなみに世界では「GIA」が世界基準となっております。 【真珠総合研究所】【真珠科学研究所】
また、真珠の鑑別機関では、多くの有名百貨店、 真珠専門店で信頼されているのは「真珠総合研究所」・「真珠科学研究所」で発行されている鑑別書になります。
鑑定書の読み方
中央宝石研究所の鑑定書
【カット・形状(SHAPE & CUT)】
研磨されたダイヤモンドのカットの形を記載しています。
ダイヤモンドの美しさを最大に引き出す代表的カットといえばラウンド・ブリリアント・カットです。ラウンド・ブリリアント・カットとは、丸型でクラウン側に33、パビリオン側に25、合計58のファセット(研磨された面)を持ったカットのことです。また、ラウンド・ブリリアント・カット以外にも、ファンシーシェイプカットと呼ばれるオーバル、ペアシェープ、マーキス、エメラルド、ハートシェープ等様々なカットもあります。
【寸法(MEASUREMENTS)】
ダイアメンション装置(プロポーションの自動計測装置)を使用して、ダイヤモンドのガードル直径2か所(最小値と最大値)とテーブルからキューレットまでの全体の深さを測定し、寸法として100分の1ミリ単位で記載しています。
【重量・カラット(CARAT WEIGHT)】
宝石の重量は、正確なデジタル電子重量計で小数点第3位(1/1000カラット)まで測定され、カラット重量(略字ではct)で記載しています。グラム表記に直すと1ctが0.2gになります。
重量の後に”(刻印)”とかかれている物は、リング等製品に入っている重量の刻印をそのまま記載しています。その他、この項目には貴金属品位(Pt900など)が記載されることもあります。
【カラー(色)の等級(COLOR GRADE)】
GIAマスターストーン(JJA/AGL認定)を使用して、ダイヤモンドの色の濃さを評価し、カラーグレードとして記載しています。一般的には純粋無色なものをDカラーとし、以下E、F、G、H・・・・Zまで分類評価します。
なお、Zカラー以下のダイヤモンドやピンク、ブルー、パープル、グリーン、オレンジ等のファンシーカラーと呼ばれる様々な色調を帯びたダイヤモンドは、別の分類評価をします。
<JJA/AGL認定マスターストーン>
AGL会員の鑑定機関では統一された基準で色を見るようマスターストーンのカラーを統一しています。このJJA/AGL認定マスターストーンとは使用したマスターストーンを表しています。
<色の起源>
検査の上、その色が天然か人工かを記載しています。
【クラリティ(明澄度)の等級(CLARITY GRADE)】
磨かれたダイヤモンドを専門家が10倍に拡大し検査してインクルージョン(包有鉱物)の有無、位置、大きさ、性質、数、色を総合的に判断してクラリティー(明澄度)の評価は行われます。
クラリティー(明澄度)の評価は、フローレス(FL)を最高に、肉眼でインクルージョンが見えるI3までの11段階に分類されています。
【カットの等級(CUT GRADE)】
ダイヤモンドのプロポーションとフィニッシュ(研磨の仕上げ)を基に総合的に評価します。EXCELLENT(エクセレント)、VERY GOOD(ベリーグッド)、 GOOD(グッド)、FAIR(フェアー)、POOR(プラー)の5段階に等級付けします。
<研磨状態>
ダイヤモンドのファセット(研磨された面)の研磨の仕上げ評価です。EXCELLENT(エクセレント)、VERY GOOD(ベリーグッド)、 GOOD(グッド)、FAIR(フェアー)、POOR(プラー)の5段階に等級付けします。
<対称性>
対称性とは、ダイヤモンドのファセット(研磨された面)の位置やバランスの仕上げの評価です。EXCELLENT(エクセレント)、VERY GOOD(ベリーグッド)、 GOOD(グッド)、FAIR(フェアー)、POOR(プラー)の5段階に等級付けします。
【蛍光性(FLUORESCENCE)】
ここでは、ダイヤモンドの蛍光の色調や強さを記載します。ダイヤモンドは、一般的に紫外線を当てると、石によって様々な蛍光を発します。この発光時の色及び強さを蛍光マスターストーンと比較して決定します。
【レポート番号(Number)】
グレーディングレポートの右上にはレポートごとに番号が記載されています。
【プロポーション(PROPORTION)】
ダイヤモンドに施された面(ファセット)の角度や比率をGIA基準により記載します。
<テーブル径>
テーブルの角から反対側の角までを4か所測定し、その最大値をガードルの平均直径で割り、小数点第1位を四捨五入して%表示したものです。プロポーションの自動計測装置(ダイアメンション)を使用して算出しています。
<ガードル厚>
クラウン部とパビリオンを分けている部分をガードルと呼び、ダイヤモンドを保護するために必要なものです。ガードルは、厚さの度合いによりEXTREMELY THIN(極端に薄い)、VERY THIN(非常に薄い)、THIN(薄い)、MEDIUM(中位)、SLIGHTLY THICK(やや厚い)、THICK(厚い)、VERY THICK(非常に厚い)、EXTREMELY THICK(極端に厚い)の7段階に分類されています。
<全体の深さ>
テーブルからキューレットまでの深さを平均直径で割り、小数点第2位を四捨五入して%表示したものです。プロポーションの自動計測装置(ダイアメンション)を使用して算出しております。
<キューレットサイズ>
ダイヤモンドのパビリオン部の尖端をキューレットと呼びます。大きさや状態によってNONE(なし)、VERY SMALL(非常に小さい)、SMALL(小さい)、MEDIUM(中位)、SLIGHTLY LARGE(やや大きい)、LARGE(大きい)、VERY LARGE(非常に大きい)、EXTREMELY LARGE(極端に大きい)、CHIPPED CULET(欠けたキューレット)、ABRADED CULET(摩耗したキューレット)の用語で表現します。
【その他/備考欄(COMMENTS/REMARKS)】
レポート内の記載以外のダイヤモンドの特徴やその他の情報をコメントします。
【プロット(PLOT)】
ダイヤモンドのインクルージョン(内包物)の特徴を図示したものです。石の表面に限られた特徴は緑色で、石の内部又は表面から内部に入っている特徴は赤色で、カッターにより必要外につけられたファセットは黒色で、それぞれをレポート上に図示します。
ハート&キューピッドのレポート
【ハート&キューピッドのレポート】
ハート&キューピットとは、特殊なスコープでダイヤモンドを表から見ると8本の矢(アロー)、裏から8本のハートが綺麗に見えるダイヤモンドで、これを書面に記した物がH&C(ハート&キューピッド)レポートです。又、ハート&アロー、華標(はなしるべ)と呼ばれる事もあります。
【ダイヤモンドと鑑定書の同一性の確認】
お手持ちのダイヤモンドが、鑑定書と同一のものかどうかの確認を、鑑定書の発行元鑑定機関に直接お持ち頂くか送付することで調べることができます。(*ただし、ダイヤモンドが枠に留めてある場合、枠からはずす必要があります。)詳しくは、お電話にてお問合せ下さい。
鑑定書と鑑別書の違い
加工・修理の工具について
1.切る:糸ノコ 貴金属の切断の多くは糸ノコを用います。ノコ・フレームに糸ノコの刃をつけて切りますが、目の方向を付け替えて、押し切りでも引き切りでも使えます。糸ノコの刃のサイズは色々ありますが、ジュエリーの制作には、♯06~♯1を用います。番数が小さくなると目が細かくなります。 |
ヤスリは削る工具で、使用頻度の高い基本工具の一つです。ヤスリは、その長さ・大きさから分けるとインチ・ヤスリと組ヤスリがあります。インチ・ヤスリとは大きめのヤスリのことで6インチ、8インチ、10インチほか色々ありますが、ジュエリーで主に使うのは6インチです(1インチは約2.5cmで、ヤスリの目の切ってある部分をインチで呼びます)。組ヤスリには5本組、8本組、10本組、12本組などがあり、5本組が一番長くて大きく、順に短く小さくなります。 ヤスリの形は作業目的に応じて各種あり、それぞれ削る部分の形に合わせて使い分けます。断面の形から、平、甲丸、丸などと呼んでいます。 |
貴金属と貴金属を接合したい箇所にロウを置き、バーナーの炎で熱して金属同士を接合することを「ろう付け」といいます。 「ろう」とは、接合用の合金のことで、主となる素材より融点の低い合金を使います。シルバーには銀ろう、ゴールドには金ろう、プラチナにはプラチナ用ろう(P用ろう)というように、素材に合わせて使い分けます。それぞれのろうは融点の低いものから高いものまで何種類かあります。 ろう付けする時は、ろう付けの箇所にフラックス(溶剤)と呼ばれる酸化防止剤を塗ります。フラックスを塗るとバーナーで加熱しても金属は参加しにくくなり、ろうが流れやすくなります。 | バーナーにはガス・バーナーと酸素バーナーがあります。シルバーとゴールドのろう付けには主にガス・バーナーを、高温が必要なプラチナには酸素バーナーを使います。バーナーの中心部にあるコック(弁)で、ガスの量と空気(酸素)の量を調節し、炎の大きさと強さを加減します。空気はガス・バーナーではエア・コンプレッサーと接続し、酸素バーナーでは酸素ボンベと接続します。なお酸素バーナーを使用する場合、労働省指定の「ガス溶接技能講習」の受講(修了証)が必要です。 |
8.測る:ノギス、サイズ棒、サイズ・リング、質量計 品物の長さを測ったり、リングのサイズを決めたり、出来上がった製品の重さを測ったりする用具です。 |
ローラーは貴金属地金を薄くしたり、細くしたりする用具です。線引板やダイスは、細い丸綿材や角線材、甲丸綿材、パイプ状の材料を作る時に用います。線引板を万力などで固定し、エンマで線材を引き抜きます。太い穴から順々に入れ、求める太さまで引いて延ばします。 |
10.木槌、金槌、金床など 叩いて形を作ったり、延ばす時に使うのが金槌や木槌です。貴金属を金槌や木槌で打つ時は、金床(かなとこ)の上で打ちます。 |
12.刻印を打つ:刻印 貴金属の種類と品位を表すには刻印を用います。「SILVER」、「K18」、「Pt900」など、いろいろな刻印があり、またメーカーの名が入った刻印やダイヤモンドなどを使用した場合、そのカラット数を刻印で入れます。 また刻印には、直刻印と曲がり刻印があります。曲がり刻印はもっぱらリングの打刻に使います。打刻はヤニ台、金属の打刻台などの上で行います。 ヤニ台とは松ヤニに地ノ粉をまぜたヤニをピッチ・ボールという鉄製のボールに入れた台です。ヤニを弱い火で加熱して軟らかくし、製造物を固定して石留めや刻印を打つ工具です。なお、真珠、珊瑚、コハクなどの有機質の宝石や、オパール、エメラルドなどの大変熱に弱い宝石がついたまま刻印を打つ場合は、最新の注意が必要です。これらの宝石の場合はヤニではなく、歯科材料で常温で固く、お湯やドライヤーの熱で軟らかくなるコンパウンドを固定材として用います。 |
貴金属の研磨剤には白棒、青棒、赤棒などがあります。白棒、青棒、赤棒は円盤の形状をしたバフ布を回転モーターに取り付けて、モーターの回転力で磨きます。白棒(アルミナ)、青棒(酸化クロム)、赤棒(酸化鉄)は、それぞれの仕上げ工程によって使い分けます。 ほかに練り状研磨剤があり、セーム皮や布につけて使います。これでヘラがけの後のシルバーやK18を磨きますと、ヘラムラが取れて均一な輝きが出ます。 |
a.梨地(なしじ)仕上げ 光らせない仕上げの代表は、梨地仕上げです。仕上げ面が梨の皮に似ているのでこの名があります。金剛砂(こんごうしゃ)と呼ばれているガーネットの粒で、貴金属の表面に無数の小キズをつけることによって得られるテクスチャー(表面仕上げ)です。下のバケツに入っている金剛砂と水を一緒にすくって、左手の先に持っている品物の上に落とします。 b.ホーニング 金剛砂の作業を機械で行うのがホーニングです。ガラスや繊細な貴金属片を高圧空気とともに、素材の表面に吹き付け、非光沢面を作ります。 c.サティーナ(サテン仕上げ) ペースト状の固形化する研磨剤を専用バフ布などの外周に塗布し、素材の表面に細かいラインをつけます。 d.その他の仕上げ タガネで一面に模様をつける方法、硬質ゴムで表面をこする方法、ダイヤモンド・ポイントで表面に均一な筋をつける方法などがあります。 e.いぶし仕上げ シルバー製品の表面を黒色に仕上げることをいいます。古美液(酸化液)をハケにつけ2、3度制作物に塗り、自然乾燥させると黒色になります。 |
15.電動工具類:ハンド・モーター、バフ、超音波洗浄器 作業を効率よく行うために、いろいろな電動工具や機器がありますが、その中でもっとも使用頻度の高いものは、ハンド・モーターとバフ(バッファー)、そして超音波洗浄器です。 ハンド・モーターは、加工にも仕上げにも、ワックス加工にも使えてとても便利です。バフは仕上げ専用工具です。超音波洗浄器は、仕上げた後に製作物の隅々に残っていた汚れや、貴金属面や裏にこびりついた研磨剤をきれいに落とすことができます。 |
指輪サイズ直しの工程
①立爪リングのサイズを2番ちぢめます。ろう目(ロウ付け部分)の位置をルーペで見て確認します。すでにサイズ直ししてあることもあり、ろう目も1箇所でなく2箇所以上のこともあります。 |
②サイズ1番の長さは約1mmです。スケールにケガキ(コンパス部)をあて必要な長さに開きます。ここでは2番、すなわち約2mmの長さをとります。アタリを付けた所を基点としてケガキで線を入れます。 |
③アタリを付けた所とケガキの線跡にノコ刃を入れて地金を切っていきます。この時、力を入れて一気に切ろうとせず、ゆっくりと正確に切ります。 |
④腕の部分にキズがつかないように布や皮をあてがい、角のない丸いヤットコなどを使い、曲げていきます。片側を少しずつ曲げ、切り口どおしを合わせます。 |
⑤合わせ目にアキがあったら、そこにノコ刃を入れて切り合わせ、完璧にします。 |
⑥ロウ付けをします。合わせ目にフラックスを少量つけ、ロウを置き、酸素バーナーで熱を加えてロウを流します。高温で瞬時に行うようにします。 |
⑦甲丸あるいは腹丸ヤスリで、ロウ付け部分を中心にリングの内側外側とヤスリをかけ余分なロウなどを削り取ります。この時ヤスリをかけすぎないよいうに注意します。 |
⑧芯金に入れて木槌で叩き整形します。あまり強く叩くと爪がゆるんで石が動いたり、腕が変形することもありますので軽く叩きます。 |
⑨荒仕上げです。油目ヤスリなどでさらに丁寧に整形します。腕の幅が狭くなったり、厚みが薄くならないように注意して作業します。 |
⑩丸棒や角棒(平角)に紙ヤスリを両面テープで接着し、仕上げていきます。紙ヤスリは400番から1200番位まで徐々に細かくしていきます。 |
⑪ヘラ(磨き棒)かけなどをして光らせます。ヘラには石鹸水などをつけながら作業します(K18の場合はヘラ工程は省きます)。 |
⑫ハンド・モーターやバフをかけて最終仕上げをします。外側のバフがけは、ロウ目とバフの回転方向に気をつけます。ロウ目が非常にでやすいのでロウ目に対して直角にバフをかけます。バフがけ後、洗浄して出来上がりになります。 |
指輪の制作工程
①よくなましてから、ローラーの角溝に通して3mmの角棒にし、平らの部分で薄くして2.5mmの平角上の板にします。 |
②木槌で叩いてまっすぐにしたら、必要な長さに糸ノコで切ります。 |
③全長の1/4位のところに直の刻印を打ちます。 |
④芯金に巻きつけるようにして両端から木槌で叩きながらまげて、リング状にしていきます。 |
⑤合わせ目にフラックスを塗り、ロウを置いて大き目の炎でロウ付します。 |
⑥ヤスリで、内側、外側とヤスリがけします。 |
⑦金属ヤスリの後、内側・側面・外側の順に紙ヤスリ(スティックペーパー)などで大まかに仕上げておきます。 |
⑧三角ヤスリで削りすじを入れていきます。 |
⑨シノギ(ヤスリの形状)の中目、油目を使って模様を削り出します。 |
⑩紙ヤスリ、キサゲをかけた後、石鹸水などをつけながらヘラで磨きます。 |
⑪青粉などをつけながら、ハンド・モーターやバフで仕上げをして洗浄します。 |
⑫サイズを変えて女性用、男性用と作ります。これでマリッジ・リングの完成です。 |