加工・修理の工具について
◆ジュエリーの製造・加工・修理◆
使用する工具のこと、各種の製造、加工方法について
2.削る:ヤスリ
ヤスリの目には荒いものから細かいものまで、荒目、中目、小目(または細目)、油目とあります。インチ・ヤスリは全て揃っていますが、組ヤスリは中目と油目が中心です。
3.曲げる:ヤットコ
貴金属を曲げるための代表的な用具はヤットコです。ヤットコは使用目的に応じて平ヤットコ、口細ヤットコ、石留めヤットコ、時計ヤットコなどがあります。ヤットコを使うときは、聞き手にヤットコを持ち、もう一方の手でしっかりと金属をつかんで曲げます。
4.曲げる:芯金(しんがね)と木槌
リング状にきれいに丸める場合や厚い地金を曲げる場合はなどは、鉄製の丸い芯金に金属をあてがって、木槌で打ちながら曲げます。
5.ろう付け:バーナー
6.酸で洗う
ろう付けの後、加熱した金属は酸化膜ができていますので、それを除去するため酸洗い液に入れます。酸洗い液は10~20%の希硫酸液で、水の中に濃硫酸を入れますが、逆に濃硫酸に水を入れると発熱して危険です。
7.仕上げる:キサゲ、ヤスリ、ヘラ
キサゲは刃の部分で貴金属の表面についたキズやヤスリ目などを削り落とす工具です。ヘラ(磨き棒)は金属の最終仕上げに使う鋼鉄製の棒で、表面が良く磨いてあります。紙ヤスリ、キサゲをかけた後、ヘラを貴金属にこすりつけて表面を磨きます。
9.延ばす:ローラー、線引板など
11.穴をあける:ドリル、ドリル刃
貴金属に穴をあける時はドリルやボール盤を使います。ドリルの刃の太さは0.1mmおきにあります。また穴をあける時は位置決め用としてセンターポンチも必要です。
13.光らせる:白棒、青棒、赤棒
14.光らせないで仕上げる:金剛砂、古美液(ふるびえき)
貴金属はピカピカに光らせる仕上げの他、光らせない仕上げや本来と違う色に仕上げる方法があります。
1.切る:糸ノコ 貴金属の切断の多くは糸ノコを用います。ノコ・フレームに糸ノコの刃をつけて切りますが、目の方向を付け替えて、押し切りでも引き切りでも使えます。糸ノコの刃のサイズは色々ありますが、ジュエリーの制作には、♯06~♯1を用います。番数が小さくなると目が細かくなります。 |
ヤスリは削る工具で、使用頻度の高い基本工具の一つです。ヤスリは、その長さ・大きさから分けるとインチ・ヤスリと組ヤスリがあります。インチ・ヤスリとは大きめのヤスリのことで6インチ、8インチ、10インチほか色々ありますが、ジュエリーで主に使うのは6インチです(1インチは約2.5cmで、ヤスリの目の切ってある部分をインチで呼びます)。組ヤスリには5本組、8本組、10本組、12本組などがあり、5本組が一番長くて大きく、順に短く小さくなります。 ヤスリの形は作業目的に応じて各種あり、それぞれ削る部分の形に合わせて使い分けます。断面の形から、平、甲丸、丸などと呼んでいます。 |
貴金属と貴金属を接合したい箇所にロウを置き、バーナーの炎で熱して金属同士を接合することを「ろう付け」といいます。 「ろう」とは、接合用の合金のことで、主となる素材より融点の低い合金を使います。シルバーには銀ろう、ゴールドには金ろう、プラチナにはプラチナ用ろう(P用ろう)というように、素材に合わせて使い分けます。それぞれのろうは融点の低いものから高いものまで何種類かあります。 ろう付けする時は、ろう付けの箇所にフラックス(溶剤)と呼ばれる酸化防止剤を塗ります。フラックスを塗るとバーナーで加熱しても金属は参加しにくくなり、ろうが流れやすくなります。 | バーナーにはガス・バーナーと酸素バーナーがあります。シルバーとゴールドのろう付けには主にガス・バーナーを、高温が必要なプラチナには酸素バーナーを使います。バーナーの中心部にあるコック(弁)で、ガスの量と空気(酸素)の量を調節し、炎の大きさと強さを加減します。空気はガス・バーナーではエア・コンプレッサーと接続し、酸素バーナーでは酸素ボンベと接続します。なお酸素バーナーを使用する場合、労働省指定の「ガス溶接技能講習」の受講(修了証)が必要です。 |
8.測る:ノギス、サイズ棒、サイズ・リング、質量計 品物の長さを測ったり、リングのサイズを決めたり、出来上がった製品の重さを測ったりする用具です。 |
ローラーは貴金属地金を薄くしたり、細くしたりする用具です。線引板やダイスは、細い丸綿材や角線材、甲丸綿材、パイプ状の材料を作る時に用います。線引板を万力などで固定し、エンマで線材を引き抜きます。太い穴から順々に入れ、求める太さまで引いて延ばします。 |
10.木槌、金槌、金床など 叩いて形を作ったり、延ばす時に使うのが金槌や木槌です。貴金属を金槌や木槌で打つ時は、金床(かなとこ)の上で打ちます。 |
12.刻印を打つ:刻印 貴金属の種類と品位を表すには刻印を用います。「SILVER」、「K18」、「Pt900」など、いろいろな刻印があり、またメーカーの名が入った刻印やダイヤモンドなどを使用した場合、そのカラット数を刻印で入れます。 また刻印には、直刻印と曲がり刻印があります。曲がり刻印はもっぱらリングの打刻に使います。打刻はヤニ台、金属の打刻台などの上で行います。 ヤニ台とは松ヤニに地ノ粉をまぜたヤニをピッチ・ボールという鉄製のボールに入れた台です。ヤニを弱い火で加熱して軟らかくし、製造物を固定して石留めや刻印を打つ工具です。なお、真珠、珊瑚、コハクなどの有機質の宝石や、オパール、エメラルドなどの大変熱に弱い宝石がついたまま刻印を打つ場合は、最新の注意が必要です。これらの宝石の場合はヤニではなく、歯科材料で常温で固く、お湯やドライヤーの熱で軟らかくなるコンパウンドを固定材として用います。 |
貴金属の研磨剤には白棒、青棒、赤棒などがあります。白棒、青棒、赤棒は円盤の形状をしたバフ布を回転モーターに取り付けて、モーターの回転力で磨きます。白棒(アルミナ)、青棒(酸化クロム)、赤棒(酸化鉄)は、それぞれの仕上げ工程によって使い分けます。 ほかに練り状研磨剤があり、セーム皮や布につけて使います。これでヘラがけの後のシルバーやK18を磨きますと、ヘラムラが取れて均一な輝きが出ます。 |
a.梨地(なしじ)仕上げ 光らせない仕上げの代表は、梨地仕上げです。仕上げ面が梨の皮に似ているのでこの名があります。金剛砂(こんごうしゃ)と呼ばれているガーネットの粒で、貴金属の表面に無数の小キズをつけることによって得られるテクスチャー(表面仕上げ)です。下のバケツに入っている金剛砂と水を一緒にすくって、左手の先に持っている品物の上に落とします。 b.ホーニング 金剛砂の作業を機械で行うのがホーニングです。ガラスや繊細な貴金属片を高圧空気とともに、素材の表面に吹き付け、非光沢面を作ります。 c.サティーナ(サテン仕上げ) ペースト状の固形化する研磨剤を専用バフ布などの外周に塗布し、素材の表面に細かいラインをつけます。 d.その他の仕上げ タガネで一面に模様をつける方法、硬質ゴムで表面をこする方法、ダイヤモンド・ポイントで表面に均一な筋をつける方法などがあります。 e.いぶし仕上げ シルバー製品の表面を黒色に仕上げることをいいます。古美液(酸化液)をハケにつけ2、3度制作物に塗り、自然乾燥させると黒色になります。 |
15.電動工具類:ハンド・モーター、バフ、超音波洗浄器 作業を効率よく行うために、いろいろな電動工具や機器がありますが、その中でもっとも使用頻度の高いものは、ハンド・モーターとバフ(バッファー)、そして超音波洗浄器です。 ハンド・モーターは、加工にも仕上げにも、ワックス加工にも使えてとても便利です。バフは仕上げ専用工具です。超音波洗浄器は、仕上げた後に製作物の隅々に残っていた汚れや、貴金属面や裏にこびりついた研磨剤をきれいに落とすことができます。 |